第06話-1

セルムラント市街地・・メインターミナル近くの奥まった路地・・

ロディはそこにある、いつものガンショップでおやっさんと話をしていた


「スタン、お前さん最近レイノスの扱いが乱暴じゃないか?」

「・・ありゃ・・やっぱそう思う?」


苦笑いして答えるロディ

そういえば最近、自分でもわからない内に銃を乱射していたような気がする

・・そう、なんか、どこかのお巡りさんのように撃ちまくっていたような・・


「・・俺、ストレスたまってンのかな・・・」


しかしレイノスの場合はただ撃ちまくっただけでどうこうなってしまうような銃ではない

・・よほど強力な火器を搭載して放たないと、本体にガタが来る事はないのだ


「・・え~とグレネードガンとロケットランチャーとガトリングガンとスマッシュキャノンとブラストアンカーと・・」


ロディがやる気なさげに口走る武装名は、決して街・・建物の中でぶっ放して良い威力ではない

・・最近仕事が来ないユニオンなのだ、ロディが撃つ所と言えば事務所の地下くらいだろうが・・


・・どういう構造してるんだ、あの事務所は(汗)


そして当のロディも、その銃器を無意識の内に乱射していたらしい・・

・・地下で撃ちまくって・・気が付いたら事務所の机で、いつものように寝ているのだ

本人には夢の中の出来事のようにも感じられたが、ネスから苦情が来ているのだから現実なのは当たり前だった。

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ロディはレイノスを一通り見てもらって、早々に事務所に戻ってきた

・・すると、なにやらネスやシードがばたばたと走り回っている


「・・なんだ、どーしたんだよ?・・」

「マスター!メイ様が一人で仕事に出かけてしまったんです!!」

「・・・・・・は?」


間抜けな顔できょとんとするロディ

・・整備したてのレイノスが静かに床に落ちた


「だから、メイ様が一人で行ってしまったんですよ」

「・・どうやって?」

「そりゃ、ブレードバッシャーを動かして・・」

「・・お前がいないと動かないんじゃなかったか?」

「セプターですから、機体のコントロールくらい右手一つで可能ですな。この前お教えした所です。」


ガンマがひょいと顔を出す

・・こいつの解説は正確だから何とも言えないんだよな・・・

そうだとしても、恐らくメイは無意識でそういった操作をしているのだろうが・・


「でもまた・・何で一人で・・?」


首を傾げるロディ、ネス、シード、ガンマ


「お姉ちゃん、なんだかすごくイライラしてたみたいだけど・・」

「セラ様?」


ガンマに続き、セラがひょこっと顔を出した


「朝も地下で大暴れしてたみたいだし・・」

「それって欲求不満か何かなのか?」

「セプターになって、闘争本能が開花したのかもしれませんな・・戦っていないと落ち着かなくなる、というか・・」

「・・俺だって相棒があんなになっちまったからな・・暴れたいのは同じだぜ」


シュウはこの前「あの」状態のゼファーを見せて以降研究室にこもりっきりである

ロディが派手に撃ちまくっていたのも、ゼファーがああいう事になってしまったからだ。

元通りになると思ったら、すっかりSDガンダム化して・・

・・相棒の格好良さの微塵も見られないんだからな・・あれじゃいくらなんでも泣けてくるぜ・・


地下研究室はギア・ハンガーへの通り道にある。もちろんシュウが締め切っている以上は中に入りようがない

・・しかし・・あれから三週間も閉じこもっているが・・・果たして生きているのだろうか?

それすらも危うい状況になってきていた


だが今はシュウよりメイの事が気にかかる


「あいつがドコへ行ったかもわからないのか?」

「はい・・心当たりもないですし・・あ、ですがシュウ様なら見つける事も可能かと」

「野郎は放っておけ・・あそこ(研究室のドア)を突破するのは俺でも無理だ」


毎度試してみてはいるが、どうやってもロディの銃器では突破できない

・・いや、「絶対防壁」とかいうモノが張ってあるらしいのだが・・


とりあえずロディ達は衛星港に上がる事にした

・・発進状況からドコへ向かったかはわかるだろう

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メイはブレードバッシャーのブリッジでぼぅっ・・と呆けた顔をしていた

仕事を終えて二週間目・・今から一週間前

・・そのくらいから、どうも身体がおかしいような気がしていた

妙な脱力感、かと思えば突然身体が熱くなり、衝動にとりつかれて自分の制御が効かなくなる・・

・・セラが見たのは、恐らくその時のメイだろう

メイは今している行動が自分のものなのか、それともこのワケのわからない衝動のせいなのか理解できないでいた


・・なんだろう・・ボク、おかしくなっちゃったのかな・・


メイはブレードバッシャーの進路もわからないでいた

・・いや、自分で進路を決めなければ進まないハズの船だ・・どうして行き先が自分にわからないのか?


心のどこかでセプターという言葉が引っかかっていたが、今の彼女にはそれを追求する事はできなかった


第06話「覚めない夢」


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